嬉々日記

「首の姫と首なし騎士」感想

2012.03.03 (Sat)

【あらすじ】
第9回 角川ビーンズ小説大賞 奨励賞受賞
賭けるのは命。最凶の騎士とのミステリ風王宮物語!!

大陸の中心・フォルモントの国。
建国の英雄ジョセフの孫、シャーロットは、本を愛するインドア派の末っ子姫。
自分を飾らず、お見合いにも失敗ばかりの彼女は、
父王から“首なし騎士”、アルベルト・ホースマンと狩りに行けと命じられる。
戦乱の時代、数々の首級をあげたという彼は、まるで抜き身の刀。
しかもシャーロットを次の主候補に選び、つきまとってきて!?


※ネタバレ注意


ずっと積んでいたので、そろそろ読むか~と
いざ読み始めたら止まらなく、最後まで一気に読んでしまいました。
もっと早く読めば良かった…!
シャーロットが引きこもりなのもちゃんと理由があり、
インドア派とありますが、気にかかったことを放置できず、
事実を確かめずにはいられない性分、行動力もあり個人的には好感持てました。

”首なし騎士”アルベルト・ホースマンの亡き主、ジョセフ・フォルモントの遺言
―”王”の資質がある者を見定め、
アルベルトがジョセフに誓った忠誠を再びその者に誓ってもいいと
思ったその時には、”クラウン”と共に”王”の隣に並べ―

この先王の遺言によって物語は始まります。

登場人物が魅力的。
”首なし騎士”アルベルト・ホースマン
戦争の英雄であり、九年前、戦争の真っ直中にあった。
そこへふらりと現れた彼は、齢十六にして戦いの技を極めた。
当時、彼には名前すらなく、そんな少年をジョセフが軍に招き入れたそうです。
これは間違いなく出生の謎がありそう。
「俺がクビになった時は、退職金代わりに連れ去ってやる。楽しみにしてろ、出不精娘」
はい、楽しみにしてます^^

レイフォード兄さん(第一子)
シスコンいいよシスコン。
「もし俺がフォルモントとは何の繋がりもない人間なら、
遠慮なく首なし騎士と張り合えるからだよ。俺の可愛いロッティ」

妹のためにそこまでするのか!?なことしちゃってます。本気なのか冗談なのか…。
何でそこまで妹を大事にするのか今後詳しく描いて欲しいな。
クローヴィス(第三子)と国王、フォルモントの王族の哀しい結末。
「貴方と親子になりたかった。何処にでもいるような、普通の親子に」
王族だからこそ壊れてしまった家族。痛々しい。
だからこそ、このシャーロットの言葉が重かったです。
実は家族みんなが思っていたことなのではないかと思います。

そしてエピローグのジョセフとアルベルトの会話。
「お前は時折、どんな敵を憎むより激しく、その女の命を奪いたくなるだろう。
ところが何故か、お前は、女の首を絞める事は出来ても絞め殺す事は出来ない。
女の首に刃を突きつける事は出来ても、切り落とす事は出来ない

「……で、つまり?」
鈍いな。それが、愛しているという事だ。どうだ、お前にもわかりやすいたとえだろう?」


あ~✝
やっぱりシャーロットとアルベルトは昔出会ってたんですね。
シャーロットは覚えてないし、アルベルトはこの会話を(今現在)忘れているけど。おいしい。
お祖父さんも実は孫娘を溺愛。おいしい。
タイトルからして「首」という言葉がたくさん出てきます。
それにしたって、シャーロットは首を絞められ過ぎ!w危ない人ばっかり。
ラブ展開は無いに等しかったですが、シャーロットとアルベルトの掛け合いが面白い。
この2人の展開に期待!どう変化していくのでしょうか。
そして次代の王は誰になる?
個人的にはシャーロットの三代目女王陛下でいいと思うんだけどな~。
本人は嫌がってますが。

これからどうなるんだとドキマギしながら読みました。
ビーンズ文庫では「彩雲国物語」以来久しぶりにハマりそう。
新人の方とは思えない安定した面白さとストーリーの運び方。
続編も期待!

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